闇のなか、一本の蝋燭の灯が揺れる。「深淵の闇。そこは人間が行き着く最後の未来。何者にもなれなかった男の人生が今終わろうとしている…」―男の名は、大貫大。事業に失敗した父親が二年前、首をくくって以来、彼は骨董商を目指し路上販売を続けている。大の露店で、幼い少女がビー玉の値段を尋ねる。大は答える。「これは百年前に作られたビー玉なんだ。想像できるかな。一個だけあげるから、その代わり大きくなったらお兄ちゃんのお嫁さんになって」少女はもらったビー玉を持って、無言のまま駆け去る。