パリ第四区の一帯は恐怖のどん底につきおとされていた。五月初めから四人の女が夜の九時頃殺されていた。金品を盗むでも暴行を働くでもない、ただ服を引き裂くだけの、動機のない殺人をおかして、犯人は闇の中に消えてしまう。メグレ警部(ジャン・ギャバン)は犯人が自分の犯行を誇示する性格の者なのを見抜き、偽の犯人をとらえて現場検証を行い、おとりの婦人警官を十数名現場付近に放って、見当違いを嘲笑して新しい犯行を犯すであろう犯人を捕える罠をかけた。