雷の鳴る豪雨の中、寺の和尚さん(声・動き:鈴木慶一)は段ボールの中で鳴いている子猫をみつける。その子猫は“あんず”と名付けられ、大切に育てられた。ところがおかしなことに10年20年経っても、あんずは死ななかった。そして30年たった頃、どうした加減かいつしか人間の言葉を話し、人間のように暮らす“化け猫”になっていた……。現在37歳のあんず(声・動き:森山未來)の仕事は按摩のアルバイトで、移動手段は原付。ある日、親子ゲンカの末、長い間行方知れずだった和尚さんの息子・哲也(声・動き:青木崇高)が11歳の娘かりん(声・動き:五藤希愛)を連れて帰ってくる。だが、再び和尚さんとケンカをして、彼女を置いて去ってしまう。かりんは哲也が別れ際に言った「母さんの命日に戻ってくるから」という言葉を信じて待ち続けるも、一向に帰ってこない。母親の墓に手を合わせたいというささやかな望みさえ叶わないかりんは、あんずに「母さんに会わせて」と懇願。たった一つの願いから、地獄をも巻き込んだ土俵際の逃走劇が始まる……。