高知県。深夜のカラオケバーで、酒に酔い盛り上がる男女の中心で飛び跳ねるフユ（林裕太）。彼は背中に手製の募金箱を引っかけている。ボール紙でできた小さな箱に、酔いつぶれた男たちの持ち金を突っ込んでいく。他人のものを適当に奪いながら、どこへ行こうというのでもなくフユは街をさまよう……。同じ頃、春（中澤梓佐）は帯屋町商店街のスーパーを後にする。つっかけサンダルを引きずりながらレシートを眺める春。彼女もまたどこへ行こうというのでもなく、ぼうっと帰路につく。その広い一軒家は、春にとって牢獄であった……。2年前に妻を亡くした秋（小林勝也）。その妻の愛は、秋を生かしてしまう。自暴自棄になろうにも妻の面影がそれを阻むのだ。妻がコーディネートした1週間のルーティンを羽織り、秋は毎朝病院へと向かう……。そんなある日、秋と春は、それぞれ偶然にフユと出会う。