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東北本線の香野町はお祭気分でわめきたった。この町から海岸のK市へ広軌鉄道が開通されるというのである。だが運送店を営む古谷喜代治は喜ばなかった商売が上がったりになるからである。もう一人鉄道開通を喜ばない男がいる--鉄道が私営の軽便鉄道の時から卅年も機関士を勤めていた矢島久平で、彼の愛着は一しお深い。そこへ古谷の娘昌江との恋愛を身分の相違から喜代治に傷つけられ、故郷を離れていた久平の息子一郎が帰って来た。彼は東京で優秀な機関士となり開通式の列車を運転するために帰って来たのである。新旧思想の対立で喜代治と息子新吉は事毎に衝突した。その朝も新吉の「自心会」への寄付金問題で、二人がいい合っている所へ一郎が訪れた。新吉は一郎との邂逅を喜び妹昌江の所在を一郎に教えたが、その昌江は一郎の子を生みおとし今は山の牧場に預けてあるというのだ。町民大会は盛大に行われたが、その夜のダンスパーティに喜代治は風紀が乱れるといって反対した。新吉は大勢の人の前で「ダンスパーティを夜やるのが悪いのなら、太陽の下でやれば文句はないでしょう」と宣言した。生がいの最後の運転を終えた久平は酒がまわればグチとなり「もう一度運転したい」と心に念じた。川原の昼間のダンスパーティ、一郎と昌江の結婚が新吉からひ露され、拍手と重なって音楽が奏でられた。その夜の二時間を一郎は父久平と過ごしたいと父のもとを訪れたが、父の姿は見えない、運転生活への愛着の消えない久平は新鉄道のレールを破壊に出掛けたのだ。これをとめた一郎は父を背負って香野へ帰る途すがら、明日の列車を運転する事を語った、久平は生がいの精魂をささげた鉄道生活を引継ぐ者が出来た喜びを知った。がまた一難、給料引下げ問題から広軌鉄道をうらんでいた喜代治の店の兼六は酒の力で鉄道の線路へ石を置いて来たというのだ。喜代治と久平はトラックで現場へ急いだ、間一発の瞬間で近づく列車は救われ、楽団演奏でにぎやかな香野駅を一郎の運転する一番列車はすべり出した。

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