カルロ・ブロスキ(ステファノ・ディオニジ)は10歳の時に落馬事故で去勢された。8歳年上の兄リカルド(エンリコ・ロ・ヴェルソ)は弟の優れた音楽の才能に驚き、以来、兄が曲を書いて弟が歌うという関係が続いていた。英国宮廷の作曲家ヘンデル(ジェローン・クラッペ)はナポリの街頭で歌うカルロの声を聴いて驚嘆し、ロンドンに来るよう誘う。だが兄も一緒にという申し出は聞き入れられず、リカルドは契約を結ばせなかった。12年後、30歳となりファリネッリと名乗ったカルロはあらゆる場所で歌い、その超絶的な声の魅力は女たちを熱狂的させた。演奏旅行では弟が誘惑し悦びを与え、兄が種をまいて、2人で女を抱いた。ドレスデンでファリネッリは、アレクサンドラ(エルザ・ジルベルシュタイン)という若い女から、貴族オペラ座の窮状を救ってほしいと依頼され、兄とともにロンドンへ向かう。貴族オペラ座では、数ヶ月前からファリネッリの師であるポルポラ(オメロ・アントヌッティ)が、対立するコヴェント・ガーデン劇場の音楽監督を務めるヘンデルと競い合っていた。