昭和初期。信州第二刑務所に1人の男が移送されてくる。彼の名は鈴木雅之(板尾創路)。胸に逆さ富士の刺青を入れたその男は、無口で物静かな様相とは裏腹に、拘置所を二度も脱走した曰く付きの囚人だった。噂通り、収監されて一時間も経たないうちにまんまと脱獄。必死の捜索により、近くの線路で身柄を取り押さえるが、看守長の金村(國村隼)は、この男には何かあると直感する。それからも、収容される刑務所や拘置所のいずれにおいても脱獄を繰り返す鈴木。それは、時間の長短や、枷の大小、難易度に関わらず、突然意表を突いた形で行われ……