家族のため、仕事に全てを捧げてきたサラリーマンの浅野拓巳(渡辺いっけい)。自分を押し殺し、頭を下げ、言いたいことも言わずに我慢し、部長にまで上り詰めたが、いつしか家族は誰も拓巳と話さなくなっていた。ある日、拓巳は居酒屋で、豪快で破天荒、昭和初期の映画から抜け出してきたような強烈な男と出会う。その男は劇団『野生の王国』の役者、虎山丈一郎だった。丈一郎の野生的な魅力に惹きつけられた拓巳は、その場で弟子入りを志願し劇団に入団する。毎日、強烈な個性の劇団メンバーたちとともに、掃除洗濯やくたくたになるまでの稽古に明け暮れる。拓巳は昔の自分の輝きと家族の信頼を取り戻すため、劇団の一番下っ端として悪戦苦闘するが……。