ベルリンの壁崩壊に先立つ1980年代から東ドイツで活躍していたシンガー・ソングライターのゲアハルト・グンダーマン(アレクサンダー・シェーア)。多くの顔を持つこの男の人生は、矛盾に満ち溢れたものだった……。昼間は褐炭採掘場でパワーショベルを運転する労働者、仕事が終わるとステージに上がり自ら作った曲を仲間とともに歌うグンダーマン。彼の希望や夢、理想に満ちたその歌は、多くの人々に感動を与え人気者になってゆく。その一方で、当時の秘密警察(シュタージ)に協力するスパイとして、グンダーマンは友人や仲間を裏切っていた。1990年の東西ドイツ統一後、自身も友人にスパイされていたことを知った彼は、その矛盾を自らに問うこととなる……。