2052年、パリ。80歳の誕生日を迎えたジュリア(ルー・ドゥ・ラージュ)はこれまでの充実した人生に満足していた。しかし、過去を振り返り、自分が過ごしていたかもしれない別の人生に思いを馳せる。ピアニストを目指していた17歳の秋、ベルリンの壁崩壊を知り友人たちとベルリンへ向かった日、もしバスに乗り遅れなかったら? 本屋で彼と出会わなかったら? シューマン・コンクールの結果が違っていたら? 私が運転していたら? そんな何気ない瞬間から枝分かれしていった4つの人生を頭に思い描く。そのどれもが決して楽ではないが、愛しい人たちとのかけがえのない日々で満たされている。はたして、幸せな“今”につながる、ジュリアが選択したたったひとつの人生とは……?