ある夏の夜、ガールズバーをクビになった21歳の枝波時子(木下美咲)は、行くあてもなく東京の街をさまよい、ふと長野行きの深夜バスに乗り込む。向かった先は、8歳まで父と過ごした山のふもとの小さな田舎町。しかし彼女は、当時のことはあまりよく覚えていない。ある朝、絵描きの父は「山猫を探しに行くよ」と言って時子を連れて山奥に分け入り、そのまま帰らぬ人となった。その町に生まれ育った高校二年生で、絵を描くことが好きな加野陽平(泉澤祐希)は、材木店を営む父の正一(田中隆三)と二人で暮らしている。最近、材木店の従業員で、陽平が兄のように慕っていた和茂(植木祥平)が、山の中で死体となって発見された。それ以来、陽平は学校に行かず、和茂が生前に連れて行ってくれた森の中の古い山小屋で、絵を描くようになっていた。かつて住んでいた山小屋を訪れた時子は、陽平と出会う。