1919年、終戦直後。夏の盛りを迎えたフランスの片田舎に、パリから軍判事のランティエ少佐がやってくる。第一次世界大戦の英雄で武勲をあげたはずながらひとけのない留置所に収監され頑なに黙秘を続けるジャック・モルラックを軍法会議にかけるか決めるために来たのだった。留置所の外で吠え続ける一匹の犬に関心を寄せるランティエ少佐。その犬は、留置所から決して離れようとしなかった。モルラックについて調べるうちに、やがて、農婦にしてはあまりにも学識豊かな恋人ヴァランティーヌの存在が浮かび上がってくる……。