フリー記者の名雪は、翻訳事務所に勤めるカーコの部屋に机ひとつ分だけ間借りしている。ある日、街で行き倒れのように死んだ男に遭遇し、救急車に同乗した名雪は、翌日紹介されたカーコの友人泰子の婚約者・築戸とその男とが酷似しているのに驚き、築戸の身元調査を開始する。しかし、名雪の調査活動は何者かによってことごとく妨害されてしまう。その時から普通の風景の裂け目ともいうべき、奇妙にズレた世界に陥った名雪は、不思議な出来事に巻き込まれながらも調査を続ける。やがて築戸は謎の組織によって再生された人間であることが判明していく。だが、築戸は名雪の前で組織に連れ去られてしまうのだった。