ミシガン州デトロイト。寂れたアパートでひっそり暮らすアダム(トム・ヒドルストン)は、何世紀も生き続ける吸血鬼。今ではその正体を隠し、アンダーグラウンド・シーンでカリスマ的な人気を誇る伝説のミュージシャンとして活動していた。起きて行動するのは夜間だけ。必要な物の多くはイアン(アントン・イェルチン)という男に調達を依頼。時折、素顔を隠して医師ワトソンの病院を訪れ、密かに血液を入手していた。そんな彼の元にある夜、モロッコのタンジールに滞在していた吸血鬼の恋人イヴ(ティルダ・スウィントン)がやってくる。久々に再会した2人は、アダムのアパートで愛を交わし、音楽や人間たちの犯した歴史上の蛮行について語り合う。少し眠った後、車に乗って夜の散歩へ。パッカード工場跡の廃墟、ジャック・ホワイトの生家、元ミシガン劇場の跡地……。かつて自動車産業で栄えた都市も、今では貧困率の上昇と人口減少によって荒廃が進んでいた。やがて会話の中に、歴史上では16世紀末に死んだとされる異端の作家クリストファー・マーロウ(ジョン・ハート)の名前が上る。