成陽大学映研サークルの自主映画「スーパームーン」で、ヒロインのスズナ役を務めるサナ(小野莉奈)は、鬼監督のニシ(森岡龍)から容赦なく演技にダメ出しをされ、テイクを重ねて心が折れかかっていた。初めてのヒロインに抜擢されながらも、実力を全否定される辛さからサナを救ってくれたのは、サークルの美術担当で、劇中では幼なじみを演じるレイ(平井亜門)の励ましだった。だが、メンバーたちの奮闘も虚しく、映画の撮影はコロナ拡大の影響で中止に追い込まれる。やがて大学を卒業したサナは、女優の道を諦めきれず、バイトを掛け持ちしながら、ワークショップで演技のレッスンに励んでいた。しかし、相変わらず講師にダメ出しをされ、演技にも自分にも自信が持てない。そんなある日、ニシからかつてのサークルのメンバーに招集がかかる。映画賞の受賞をきっかけに、商業映画の監督デビューが決まったニシは、学生時代と同じスタッフ&キャストで「スーパームーン」の続きを撮影するというのだ。渾身の演技で現場に挑む決意を固めたサナは、自分の全てを賭けた“あるアドリブ”に挑むことを心に誓っていた……。