森の向う側

森の向う側
1988
75分
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Jは「森を探しに行く」と言って消息を絶った友人を探すため、シーズンオフの海辺のリゾートホテルへやって来た。彼は建築技師だが、実際の仕事は古くなったビルの爆破だった。そこでJは人生の思い出に浸る老夫婦と出逢う。老人は「雨の降る海岸で死んだ娘に会った」と妻に話している。雨はまったく止む気配もなく数日降り続いていた。ある朝Jは食堂で一人の若い女性客を見かけ、午後にホテルの図書室で再び顔を合わせた。そこには戦前から昭和20~30年代の古い本しかなかったので、Jは自分の読み終えたミステリーの文庫を彼女にプレゼントした。そして退屈しのぎにJは彼女と心理ゲームを始めた。ゲームを進めながらJは彼女がピアニストであることや、現在や過去のさまざまなことを当てていき、ついに“庭”という言葉に彼女の秘密が隠されていることを発見する。また、彼女には時々右手を眺める癖があることに気づいた。そのことを尋ねると、なぜか彼女の表情が変わった。2人は場所を食堂に移し、今度はJが森を探しに出かけた友人の話をした。部屋に戻ったJは、ジグソー・パズルをしながら東京に残してきたガール・フレンドのことを考えた。雨があがった日の夜、Jはホテルのプールサイドで再び彼女と会った。そして彼女は今まで誰にも話さなかった子供の頃の思い出を話し始めた。当時可愛がっていた小犬が死に、彼女はその死体をさまざまな思い出の品や預金通帳と一緒に木箱に入れて庭の片隅に埋めた。その時はとにかく悲しくて、何もかもいらないという気持ちから通帳まで入れてしまったのである。しかし、一年ほどたった17歳の時友人のためにお金が必要になり、木箱を掘り起こしたが、通帳には匂いが浸みついていて使い物にはならなかった。彼女はその時犬の死体を見て何の感情も持たなかったことに後ろめたさを感じているようだった。それから右の掌にも匂いが残って、いくら洗っても消えないという。Jは彼女の掌の匂いを臭がせてもらったが、石鹸の匂いがしただけだった。

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