“真実”と“真実らしさ”とはいつも裏と表をなしていて、それを見分るのはむずかしい。ひょっとすると、真実らしく見せかけたものの中にこそ本物の真実はあるのかも知れない。映画がちょうどそれにあたる。今、パリで新作を作っている撮影所の内幕が何よりも良きその見本とはいえまいか--。その映画の監督の名はフェラン(F・トリュフォー)。主演スターは、若手のアルフォンス(J・P・レオ)とベテランの俳優で映画の中では彼の父親役をやっているアレキサンドル(J・P・オーモン)、その妻に扮するセブリーヌ(V・コルテーゼ)そしてヒロインを演じるジュリー(J・ビセット)。ジュリーの夫ネルソン(D・マーカム)は医者だ。二年ほど前、彼女が神経衰弱になったときその治療に当たったのが彼で、それがロマンスのきっかけとなるが…。