戦争の音が徐々に近づきはじめていた昭和初期の新潟県頚城郡。寒村に生まれたふみ子(鈴木理子)は、その貧しさゆえに幼くして盲目となってしまう。夫に先立たれ、女手ひとつでふみ子を育てる母チヨ(藤谷美紀)は、滝壺薬師住職の慈光(高橋長英)に眼病祈願をするが、回復の見込みがないことを告げられる。絶望したチヨは、荒々しく波が砕ける日本海にふみ子と向かう。見えなくとも、波が光る様子を感じたふみ子は「海って、きれいだね……」とつぶやき、その言葉と笑顔にチヨは入水自殺を思いとどまる。昭和10年、8歳になったふみ子の家に、慈光のはからいで盲学校の若い教師、高野りんが訪れる。