バケモン

バケモン
2021 · ドキュメンタリー · 日本
120分
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始まりは2020年。一時期、テレビ番組の収録が中止になった頃、鶴瓶のマネージメントを手掛けてきた千佐隆智が、“コロナ禍の最中、今は役に立てていないエンターテイメントで、鶴瓶という芸人で、なんかできへんか”という思いつきを、テレビ番組の構成演出家・山根真吾に話したことがきっかけだった。山根は2004年から17年間、自主制作で落語家・鶴瓶を撮影してきた。ただし、その目的を千佐や鶴瓶に明かしたことはなく、鶴瓶も“俺が死ぬまで世に出したらあかん”と念押ししていた。こうして、千佐と山根と鶴瓶というよく分からない三角関係の中から誕生したのがこの映画。制作中、鶴瓶から“信用してるけど、本気にならんとあかんで”と言われ、ムッとした山根は“これまで作ってきた番組の100倍面白い”と言い返したとも伝わる。映画は2020年、鶴瓶が4ヶ月ぶりの小さな舞台に立つ場面から始まる。この年、鶴瓶は1時間を超える上方落語の最高傑作『らくだ』をひっさげ、全国ツアーをスタート。奇しくも『らくだ』は2004年に山根が鶴瓶と千佐に撮影を申し込むきっかけとなった古典落語で、鶴瓶は2007年にも『らくだ』で全国ツアーを行なっていた。山根によれば、13年ぶりの『らくだ』は、別モノに化けていた。なぜ『らくだ』は変わったのか。そこには、鶴瓶という芸人の生き様と鶴瓶の師匠・松鶴と、『らくだ』を完成させた桂文吾と、様々なモノが入り乱れ、一度見ても正直、よくはわからない。鶴瓶の現場マネージャー、宇木正大は試写会の後、“なんか、ひとつも覚えてないですわ”と言いながら電車に乗った。映画のタイトルを書いた書家・大木明子は“なんか、いっぱい笑って、そして泣けました”と山根にメールを送った。果たして、千佐の“なんかできへんか”という思いつきは何かの役に立ったのか。山根の“100倍面白い”はハッタリではないのか……。

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