息子をさらわれ狂女となった班女の前(六代目中村歌右衛門)は、我が子を訪ねて東国までやってくる。彼女が隅田川の渡し船に乗ると、対岸で大念仏を行う人々が見える。舟人(十七代目中村勘三郎)によれば、行き倒れた幼子の命日に回向を手向けていると言う……。