ベルギーに暮らす13歳のアメッド(イディル・ベン・アディ)は、つい最近までどこにでもいるゲーム好きな少年だった。ところが今は、イスラム教の聖典“コーラン”に夢中で、小さな食品店の二階のイスラム礼拝所=モスクで導師が行う礼拝に兄と熱心に通っている。放課後クラスのイネス先生(ミリエム・アケディウ)とのさよならの握手を、“大人のムスリムは女性に触らない”と拒否した夜、母親から“イネス先生は識字障害克服の恩人よ。毎晩読み書きと計算を教えに来てくれた” と叱られる。だが、アメッドはそんな母の言葉に、まったく耳を貸そうとしない。一方の母は、父が家を出て以来、毎晩酒を嗜むようになっていた。そんなある日、イネス先生は歌を通じて、日常会話としてのアラビア語を学ぶ“歌の授業”を提案。それを拒否したアメッドは、“聖なる言葉を歌で学ぶなど冒涜的だ。あの教師は背教者だ。背教者を見つけたらどうする?”と導師に問われ、“見つけ次第、排除するべき”と答える。導師から“その教師は聖戦の標的“と促され、靴下にナイフを忍ばせてイネス先生のアパートを訪ねるアメッド……。