太平洋戦争の最中、最前線で数々の激戦を潜り抜けた駆逐艦・雪風は、僚艦が大破炎上していく中、不死身ともいえる戦いぶりを見せる。主力の甲型駆逐艦38隻のうち、ほぼ無傷で終戦を迎えたのは雪風だけだった。軽量で機動性に優れた駆逐艦は、艦隊の先陣を担い、魚雷戦を仕掛け、対空戦闘によって中心となる戦艦、空母などを護るのが役目である。雪風は、敵弾をかいくぐりながらその任務を果たし、必ず生き抜いた。そして決まって戦場に留まると、沈没する僚艦から海に投げ出された仲間たちを救い、共に帰還させた。“不沈艦”とも呼ばれた雪風は戦後、武装を解き、復員輸送船として外地に取り残された約13,000名を日本に送り届け、人々を救い続けた。本作ではその知られざる史実を背景に、太平洋戦争の渦中から戦後、さらに現代へと繋がる激動の時代を懸命に生き抜いた人々の姿を、壮大なスケールで描き出す。