ボスニア人少女のアルマ(サラ・ルナ・ゾリッチ)は、戦火に揺れる祖国を離れた両親の下、オランダで生まれ育ったが、父は単身、祖国へ戻り、消息が遠ざかっていた。そんなある日、父が入院したとの知らせを受けたアルマは、母に言われるまま、たったひとりでボスニアへ向かう。出迎えたのは従兄のエミル(エルナド・プルニャヴォラツ)だったが、終始ぶっきらぼうな彼は、何の手助けもしてくれない。部屋に置き去りにされ、キャリーケースは壊れ、荷物も取り出せず、居場所のない空間に身を持て余すアルマ。そんな時、アパートの扉の前で眠り込んでいた彼女に声をかけたのは、エミルの“インターン”を名乗るデニス(ラザ・ドラゴイェヴィッチ)だった。彼だけが、アルマの話に耳を傾けてくれるが……。やがてアルマは、父のいる町を目指し、小さなキャリーケースを引いてバスに乗り込むが、休憩の間にバスは彼女を置き去りにして、荷物を乗せたまま走り去ってしまう……。