昭和34年9月26日・土曜日。名古屋市南部に住む小学校6年生の津島ひかりと近所に住むクラスメイトの西沢利夫はいつものように元気に登校した。明日の日曜は小学校の運動会の予定だったが、本土に接近している台風15号の為、中止と決まった。がっかりしたひかりは愛犬のブチを連れて堤防を走った。しかし、台風は次第に勢力を高め、遂に紀伊半島潮岬に上陸し、東海地方直撃が確実となった。不気味にうなる風の音に囲まれた家々、暴風雨はますます激しくなり誰もが家の中で心細い思いをしていた。