あと数年で21世紀を迎えようとしているパリだが、街には格別の変化はなく、ただ地下鉄が真赤に塗られ、彗星が近づいているために夜が恐ろしく暑かった。そして人々は、愛のないセックスによって感染するまだ治療法がみつからない新しい病気「STBO」の蔓延に恐怖を抱いていた。天涯孤独の少年、アレックス(ドニ・ラヴァン)は、どこか別の場所で新しい人生を送りたいと思っていた。ガールフレンドのリーズ(ジュリー・デルピー)と過ごす愛のひとときさえも彼には無意味だったし、後世に何かを残したいというわけでもない。やがてアレックスは、亡き父親の友人の中年男マルク(ミシェル・ピッコリ)と美少女アンナ(ジュリエット・ビノシュ)に誘われ、脱出の為の金欲しさに犯罪に手を貸す。そしていつしかアンナを愛するようになるが、アレックスは逃亡の際の傷がもとで息絶えてしまうのだった。