震災から1年後の宮城県気仙沼市でインタビューを進める中で心掛けたことは、聞く相手を被災の過酷さや体験談の鮮烈さによっては選ばないということ。出会った多くの被災者から“私たちよりもっと悲惨な体験をした人がいるから、そちらに聞いて欲しい”と、何度となく言われた。地震でライフラインが止まった人、自宅が半壊した人、家を流された人、親しい人や家族を波に呑まれた人……。どこかにある“被災の中心”から離れるほど語れない。