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【映画という名の仕掛け花火】 B級映画感を漂わせておいて、実は緻密に、そして大量に張り巡らされた伏線の数々。笑いとともにそれを一気に回収していく様は、まるで映画という名の大型仕掛け花火を見ているよう。 ◆ 映画専門学校・ENBUゼミナールの《シネマプロジェクト》第7弾作品。上田慎一郎監督が無名の俳優達と製作。37分に渡るワンカット・ゾンビサバイバルなど緻密な脚本の野心作で、口コミで都内2館の上映予定が全国40館に拡大した話題作。 ◆ とある自主映画の撮影隊が山奥の廃墟でゾンビ映画を撮影していた。​本物を求める監督は中々OKを出さずテイクは42テイクに達する。そんな中、撮影隊に 本物のゾンビが襲いかかる!​大喜びで撮影を続ける監督、次々とゾンビ化していく撮影隊の面々の行く末は… ◆ まあとにかく笑える!コメディ映画ではない(?)のにここまで笑える映画もないのでは。それもこれもとにかく緻密に計算された脚本によるもの。映画全体として伏線回収の数は3桁を越えているかもしれない。 ◆以下早々にネタバレ◆ まずはB級映画感のある37分の長回し。その中に変な間があったり、監督がカメラに話すシーンがあったり、はてなマークのつくシーンがいくつも登場する前半は、少し何を見せられているのか分からなくなる、“この映画大丈夫か?”感。しかしそれがこの映画がメジャー映画でない事を逆手に取った、見事なダマシの演出である事が後半じわじわと明かされていく。何気にメジャー映画には出来ない独特のテクニックだと思う。 そして、その伏線回収がなされていく後半はまさに怒涛の笑いと驚き。映画のあの間が何だったのか、監督がなぜカメラに話しかけたのか、見事に明かされていく様が驚くだけでなく、全て笑いにつなげているところがスゴイ。「小屋でオノ拾って」のカンペや「ちょっと…」の意味が分かった時には腹を抱えて笑った! 映画が生で放送されるという設定がその笑いの土台。これがあるのとないのとで大違いで、よく発想したものだなあと思う。生だからこそ起こるハプニングって本当に笑いの爆発力があるし、それを脚本の段階でこれでもかと土台の上に詰め込んでいる。練りに練り込まれた脚本と言えると思う。 これは自分の推測だけど、エンドロール中のメイキング映像で、逢花が片腕ゾンビに追われるシーンでカメラマンが転んだのは演出ではないのでは。確証はないけど、おそらくそれを撮り終えた後に、カメラアシスタントがよくコケるという設定を足している。実際に起こったハプニングすらも吸収した、この映画のブラックホール的完成度が素晴らしい。 B級映画である事を逆手にとったテクニック、3桁にも思える伏線回収の数々、笑い満載、ハプニングも吸収する柔軟性。とても完成度の高い映画ではないでしょうか!
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