
dreamer

터커
평균 3.2
この映画「タッカー」は、仮に監督がフランシス・フォード・コッポラでなくても、また製作総指揮がジョージ・ルーカスでなくても、観るに値する凄い映画だ。やっぱり、"男のロマン"を描く映画は最高だ。 この作品のテーマは、単に個人の闘いのみにとどまらず、それを押し潰そうとした権力が、結局は国家の繁栄をも妨げることになったという、政財界の過失をも訴えていることだと思う。 この作品は、車作りの物語で、実話の映画化だ。第二次世界大戦後、車大好き少年のタッカーが成長して、あらゆる点で優れた夢の車を発表する。 だが、それを量産するためのバックアップ体制作りに奔走していたところ、三大メジャーの大企業によって全面妨害されてしまう。しかも、罠にかけられて、裁判にまで持ち込まれる。 果たして、巨大な権力に立ち向かう男の行く末は!? -----。 この作品の魅力は、まず1940年代をリアリティーたっぷりに再現していることだ。更に、タッカー自身のキャラクター作りのうまさ。スマートなやり手の男ではなく、いつも人なつっこい笑顔を見せる元気タイプなのだ。 とにかく、車が好きで好きで仕方がないという、素朴な顔そのものが職人を動かし、自らも作業着姿で手を加え、その一方で資金のバックアップを依頼するために営業的にも奔走するのだ。 その彼のバイタリティーには、素直に好感が持てる。それに加えて、彼を支える家族や技術スタッフの協力姿勢にみる"純粋な美しさ"。それは、自分のためだけでなく、お金のためだけでなく、彼らが共有する"アメリカン・ドリーム"のためなのだ。 彼らは連日連夜、不眠不休で数十台の車の製造にとりかかる。正義を主張するためにも急がなければならない-----とでもいうかのように。 そんな過程で、実に生き生きと描かれる人間たちが、なんとも魅力的だ。情熱に突き動かされることによって、懸命に働く姿は、実に美しく、私は好きだ。 この主人公のタッカーを演じるジェフ・ブリッジスは、まさに見事のひと言につきる。ロバート・デ・ニーロを尊敬しているなと思わせるような、徹底した役作りの凄さ。顔をふっくらさせて、情熱のたぎる男を体現していて、かつての彼の「カリブの熱い夜」「白と黒のナイフ」などでの精悍な男とは思えないし、「スターマン」の宇宙人とも違っている。 やっぱり、実在したタッカー本人の顔にあくまで似せているのだと思う。そして、その顔で熱っぽくしゃべったセリフが、きっとコッポラやルーカスを熱くさせたのだろう。 「もし大企業が、一個人の発想を押し潰せば、進歩を閉ざすばかりか、今までの汗と涙は無駄になる。この国の存在も危ない。我々の知らぬ間に、この国はどん底に落ちて、旧敵国からラジオや車を買うことになるだろう!-----」