無政府主義者大杉栄のパートナーだった伊藤野枝の炎のような短い生涯を描いた傑作です。 伊藤野枝といえば大杉栄をめぐる4角関係のもつれから発生した日陰茶屋事件がイメージにあって、あまり良い印象はありませんでした。しかし本作によって彼女が徹底して自由と平等を求めて懸命に生きた女性であることを知り、感銘を受けました。 伊藤野枝の生涯を３回シリーズの中で描ききった脚本が素晴らしく、NHKらしく明治大正の日本人をきちんと再現した演出も見事です。 そして何より吉高由里子の渾身かつ入魂の演技が圧倒的であり、彼女の代表作となりました。 野枝の2番目の夫を演じたのは、稲垣吾郎。一見インテリで女性に理解があると思いきや、実は自己中心的差別主義者のダメ男を吾郎さんが好演しています。こういう役をやらせたらピカイチですね。