
cocoa

체리향기
평균 3.6
ずっと気になっていた「桜桃の味」を観ました。 イラン映画では有名な故・アッバス・キアロスタミ監督の1997年製作の一本。 地味だけど味わいのある、そんな作品でした。 土埃をあげてレンジローバーを運転する主人公バディ。 深刻な表情で運転席からあちこちを見ながら誰かを探している。 バディの目的は一言で言えば埋葬人を探すこと。 何かで悩んでいて自死を選ぼうとするバディ。薬を飲み穴の中で横になり、翌朝誰かに声をかけてもらい、生きていたら手を引っ張ってもらおう、返事がなかったら土をかけてもらおうとする。 クルド人の兵士やアフガニスタン人の神学生に頼むがみんな断り逃げ出す。 神学生の言葉、「悩みがあるから死んでしまったら、いつか人間が滅びてしまう」と言うのは妙に納得。 いつの間にか乗せていたトルコ人の老人はバディの頼みを引き受ける。 20万トマンと言う高い報酬で白血病の子どもを助けたいから。 この老人バゲリの様々な人生観がとても印象的。 「この世はみんな悩みがある。」 「人生は汽車のようなもの。前へ前へただ走っていく。」 「そして最後に死の国という終着駅に着く。」 老人は以前、首を吊ろうとした時にたまたま食べた桑の実の美味しさに気づき、周りの自然の美しさに考えを改めた、そんな事をバディに話したのです。 老人が道案内する脇道を走らせると、岩や石、赤茶色の土ばかりだけれど、急に緑が広がって何本も印象的な木が生えている。 自然史博物館で働く老人バゲリをもう一度呼び出して、「明日朝は返事がなかったら石を2つ投げ入れてほしい」 「それでも起きなかったら肩をつかんでほしい」と再度頼むバディの姿。 映画のラストは観るものに委ねる終わり方だけど、このバディの言葉には生きる希望を微かに感じさせられます。 そして唐突に撮影現場の映像が入るのはなぜだかわからない。 でも小津安二郎監督に影響を受けたというアッバス監督らしい、映画という手法で人生を語れる、そんな作品でした。