
星ゆたか

지하철의 소녀
평균 3.3
2023.2.19 『地下鉄なのに何で高架なの?』 『地上の駅に止まるため時々そうなるんだ。』 『えっそれってウソ、ケツ食らえ!』 『真実なんて誰にわかる。すべて虚構なんだ。まったく惨めで情けない。』 10歳のカトリーヌ・ドモンジョ扮するザジ・少女と叔父さんのガブリエル、フィリップ・ノワレ扮する人物との会話。 こましゃくれた少女ザジ。 母親が酒びたりの夫を殺したが、有能な弁護士を雇い無罪になったというここ一年の経歴を、ムール貝をご馳走になりながら、ザジはたまたま知り合ったオジさんに語る。 その母に連れられ、地下鉄に乗るのを楽しみにして、田舎からやって来て母親の弟・叔父さんにザジが預けられる話。 でも残念ながら地下鉄はストライキで運行されてない。その二日間のパリの町の散策の様子を、シュルレアリスム的でかつハチャメチャな映像で綴られたスラップスティック・コメディ。 叔父さん役のフィリップ・ノワレ(1930~2006)さんは、「ニューシネマ・パラダイス」(88)のアルフレード役でもお馴染みですね。この時29歳なのに、32歳の役にしては老けすぎなんて、今日の感想の人もいたようですが、昔はそんなもんだったということです。 私の映画の印象としては、途中までの展開は楽しめましたが、最後の跳ねすぎた描写がやや、今日の気分に就いていけなかったかな。 これも「胸に輝く星」(57)と同じくNHKBs録画鑑賞作品。 双葉十三郎さん(1910~2009:本名・小川一彦)という映画評論家の「ぼくの採点表」の本作品の座談会風の寸評をご紹介しよう。(61年2月公開の際の) 司会者『ルイ・マル監督の話題の作品です。奇妙でキテレツな冒険に巻き込まれるというお話です。』 オールド・ファン『初期のルネ・クレールのみずみずしいファンタジーに輪をかけたような素晴らしいルイ・マルの感覚だね。』 撮影技師『スローモーション、コマオトシ、望遠レンズなど、あらゆるトリックを生かした豊富なアイデアにはただもう感嘆しました。』 忍術使い『人物が、中ヌキであっちこっちと移動してしゃべりつづける所などはワシの秘術も及ばない。』 風俗研究家『実に空想的で新鮮なパリ。しかも鋭い風刺に溢れている。マルはちょっとした文明批評家だね。』 性学者『私が見ても面白い処だらけだ。』 スリラー作家『ザジが怪しい中年男に追いかけられる場面の技巧を駆使したギャグとスピード感は、とても我々の筆ではムリですよ。自動車の追跡も見事だ。』 鈍感氏『なんだか目まぐるしいばかりで、よくわからなかった。』 映画青年『映画のエスプリが分からんとは哀れな奴だ、ウチでテレビでも見てろ。』 心配症『日本のヌーヴェル・ヴァーグ諸君が真似すると困りますネ。精神病院行きだ。』 医者『然り、天才と狂人は紙一重ですからな。』 教師『本当に面白い映画です。二重マルだ。』 映画雑誌〈スクリーン〉誌に毎月外国映画の短評〈ぼくの採点表〉、星印採点をなされていた、東京大学卒業のわが国の翻訳家・映画評論家の先駆者です。淀川長治氏とも親しくなさっていて、よりポピュラーに映画鑑賞を分かり安く解説した道しるべ的方でしたね。 ちなみにルイ・マル監督(1932~1995)富豪の生まれ。 「沈黙の世界」(56)で海洋学者ジャック=イヴ・クストーと共同で監督し、史上最年少で(23歳)カンヌ映画祭パルムドール賞受賞です。自己資金で「死刑台のエレベーター」(58)を発表しました。この作品ジャンヌ・モロー、モーリス・ロネ主演、アンリ・ドカエ撮影、マイルス・ディヴィスの音楽が最高で、ルイ・マル作品の一押しです。その他「恋人たち」(58)「鬼火」(63)「ルシアンの青春」(74)「さよなら子供たち」(87)あたりも忘れられません。ヌーヴェル・ヴァーグの時期の映画作家ですが、「カイエ・デュ・シネマ」誌とは関わりのない独立作家という位置付けらしいです。