
dreamer

겟어웨이
평균 3.4
"非情の中の詩情を描いたサム・ペキンパー監督の映像美学を堪能できる痛快作 「ゲッタウェイ」" この暴力派の鬼才、サム・ペキンパー監督の「ゲッタウェイ」の原題である「The Getaway」とは本来、"高飛び"という意味なのですが、ここでは、"してやったり"という語感を滲ませた意味合いを持たせていて、暴力是認の美学を持つ、バイオレンス映画の作品となっています。 この映画で表現された暴力描写は、まさに凄絶としか言いようがないもので、自分の身を守るための暴力が、いつしか暴力そのものへの、痺れるような魅惑へと転化しかねない、といったムードはペキンパー監督特有のものですが、それまでの暴力否定などというテーマには一切、振り返りもせず、彼は人間の本能というものを、ダイナミックに尚且つ、赤裸々に叩き付けています。 スティーヴ・マックィーンとアリ・マッグローの銀行強盗の夫婦は、保釈させるために口をきいて、彼を利用した政治ボス一味の執拗な追跡を振り切って、アクションにつぐアクションの連続の末に、メキシコ国境を越えて行きます。 ジム・トンプソンの原作は、この映画が公開された20年前に、テキサス州で実際に起きた事件をもとにしており、映画は冒頭の刑務所のシーンから、ラストのメキシコ国境まで、原作に忠実な現地ロケでテキサスの風物を生き生きと鮮やかに描写していて、さすがにペキンパー監督のうまさに唸らされます。 この映画の製作意図としてペキンパー監督は、「この社会の底にあるのは暴力なのだ。そして暴力は、社会それ自体の反映なのだ」と語っていますが、それは、この映画の彼の前作である「わらの犬(The Straw Dogs)」で、普通の心優しく、気の弱い善人の男が、追い込まれて反撃に転じる暴力の凄まじさを描いて、暴力の哲学ないしは美学といったものをのぞかせていましたが、人間というものは、所詮は、知も情もない「わらの犬」にすぎないという中国の古の哲人・荘子の言葉をテーマとした事と共通していると思います。 しかし、考えてみると、この映画の背後には、サム・ペキンパー監督の映画監督としての系譜である、西部劇の古典的なスタイル、例えば、ジョン・フォード監督の「駅馬車」での脱獄犯リンゴ・キッド(ジョン・ウェイン)にみられるような、"祝福された脱走の明るさ"というようなものがあります。 つまり、この映画は、"非情の中の詩情"を描いた、古典的西部劇の現代版の物語を、ペキンパー監督の暴力の美学で味付けされた映像美学を堪能する作品なのです。