
てっぺい

TAR 타르
평균 3.4
2023년 05월 13일에 봄
【ブランシェット無双映画】 ケイト・ブランシェットの魅力が暴発。長回しのセリフに細かい仕草から怪演ぶりまで、大いに堪能できる一本。意外すぎるラストに、その解釈を思考する余韻がいつまでも続く。 ◆トリビア ○ケイト・ブランシェットは、ドイツ語とアメリカ英語をマスターし(自身はオーストラリア出身)、ピアノと指揮をプロから本格的に学び、全ての演奏シーンを自身で演じきった。監督曰く、撮影期間中は「撮影終了→即レッスン」という動き方をしており、ろくに睡眠もとらなかったという。(https://eiga.com/news/20230311/7/) ○ターは、トッド監督によるブランシェットのあてがき(その役を演じる俳優をあらかじめ決めておいてから脚本を書くこと)。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/TAR/ター) ブランシェットはターについて「自分に重なる部分がある」と率直に語っている。(https://baila.hpplus.jp/lifestyle/culture/55255) ○ 2022年・第79回ベネチア国際映画祭コンペティション部門ポルピ杯(最優秀女優賞)を受賞。また、第80回ゴールデングローブ賞でも主演女優賞(ドラマ部門)を受賞し、ブランシェットにとってはゴールデングローブ賞通算4度目の受賞となった。第95回アカデミー賞では作品、監督、脚本、主演女優ほか計6部門でノミネート。(https://eiga.com/movie/97612/) ○ フィールドの真に迫った演出のために、リディア・ターが実在の人物だと噂が流れたが、彼女は架空の人物。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/TAR/ター) ○ ターが若い女性奏者を強引にソロに起用しようとしたシーンは1982年の“ザビーネ・マイヤー事件”がモデル。帝王カラヤンが、若手女性クラリネット奏者のマイヤーを強引にベルリン・フィルに入団させようとした事件で、つまりターはカラヤンがモデルともいえる。なお、現在ベルリン・フィルには20数名の女性団員がいる。(https://news.livedoor.com/lite/article_detail/24208512/) ○マーク・ストロング扮するエリオット・カプランは、投資情報出版社経営者ギルバート・キャプラン(1941~2016)がモデル。マーラーの交響曲第2番《復活》の病的なファンで、財力でロンドン交響楽団やウィーン・フィルを自ら指揮。そのCDは名盤としてベストセラーになった。(https://news.livedoor.com/lite/article_detail/24208512/) ○ 冒頭のトークショーでのインタビュワーは雑誌『ニューヨーカー』のライター本人。美術や音楽に精通している人物で、劇中のイベントも、毎年開催されるニューヨーク・フェスティヴァルそのもの。(https://news.livedoor.com/lite/article_detail/24208512/) 〇ベルリン・フィルより10余年古い歴史をもつ、名門ドレスデン・フィルハーモニーが“ベルリン・フィル役”で出演し、実際に演奏。2023年4月からベルリン・フィルには、140年余の歴史上初の女性コンサート・マスターが実際に誕生しており、本作が現実を先取りしていた。(https://news.livedoor.com/lite/article_detail/24208512/) 〇ターが破り捨てた本は、今世紀前半に活躍したイギリスの女性作家、ヴィタ・サックヴィル=ウェストの『Challenge』初版本。ヴィタはヴァージニア・ウルフの“恋人”にして、名作『オーランドー』のモデルで、イギリスでは同性愛が非合法だった時代の作家。 (https://news.livedoor.com/lite/article_detail/24208512/) ○ロシア人チェロ奏者オルガ役を務めたのは、実際のチェロ奏者で本作が俳優デビューとなるソフィー・カウアー。(https://gaga.ne.jp/TAR/about/) 〇ブランシェット、本作音楽担当のヒドゥル・グドナドッティル、オルガ役のソフィー・カウアー、フィールド監督で“ターのアルバム”を製作。カウアーが演奏に加わったチェロ協奏曲や、ターが作曲したという設定の曲をテーマに演奏されたものや、ターがアマゾンで録音した楽曲などが収録されている。(https://eiga.com/news/20230311/7/) 〇CDジャケットの撮影シーンは、実在の名盤、1993年録音のクラウディオ・アバド指揮、ベルリン・フィルハーモニーによるマーラーの第5番のそれを模しており、さらにそのジャケット写真がそのまま現実のサントラCDとなり、おなじドイツ・グラモフォンから発売された。 (https://news.livedoor.com/lite/article_detail/24208512/) 〇監督のトッド・フィールドは、俳優としてキャリアをスタートしており、スタンリー・キューブリックの遺作『アイズ ワイド シャット』(1999年)にも印象的な役柄で出演していた。(https://ontomo-mag.com/article/interview/tar-todd-field-202305/) ◆概要 【脚本・監督】 「イン・ザ・ベッドルーム」トッド・フィールド 【出演】 「アビエイター」ケイト・ブランシェット 「キングスマン」シリーズ マーク・ストロング 「燃ゆる女の肖像」ノエミ・メルラン 【音楽】 ヒドゥル・グドナドッティル(「ジョーカー」でアカデミー作曲賞受賞) 【公開】2023年5月12日 【上映時間】158分 ◆ストーリー ドイツの有名オーケストラで、女性としてはじめて首席指揮者に任命されたリディア・ター。天才的能力とたぐいまれなプロデュース力で、その地位を築いた彼女だったが、いまはマーラーの交響曲第5番の演奏と録音のプレッシャーと、新曲の創作に苦しんでいた。そんなある時、かつて彼女が指導した若手指揮者の訃報が入り、ある疑惑をかけられたターは追い詰められていく。 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆ケイト・ブランシェット 冒頭のインタビューシーンの長回し、生徒への講義の場での長回しと、膨大な量のセリフをスラスラと、さらに感情を込めて並べていく様は流石の一言。オーストラリア人の彼女がドイツ語でオーケストラをまとめていく(字幕が入らない事で、その流暢さがより際立つ、あれは字幕チームの演出だと思った)、陶酔するように指揮をとる様子や、細かい仕草で表現する苛立ち、ピアノも様になっている。極め付けはその怪演ぶり。アコーディオンでまだらに奏でた隣人への悪態曲に、ラストでホールに乱入する狂人っぷり(「SESSION」('14)を彷彿とさせる)と、彼女の役者としての魅力がこれでもかと発揮された力作。たっぷり堪能できた。 ◆錯綜 冒頭のトークショーのインタビュアーは本物、ショー自体も実際のものそっくり、マーク・ストロングが演じていたのは実在の実業家がモデル、リディアがオルガを抜てきしたのもモデルとなった事件がある。しまいには本作のCDを実在の名盤を模して発売までする始末。そんな、映画ともドキュメンタリーとも取れる世界観の中に、女性初の指揮者が誕生した事であぶり出されていく問題点と、その権力行使の末路がしごく現実味を帯びる。アカデミー作品賞を受賞した“エブエブ”がマルチバースなら、本作はリアルバースに仮想のリディアがいたら、という捉え方だろうか。どこか映画であって映画でないような作品だった。 ◆余白 リディアがオルガを追って負った大怪我は、暴漢に襲われたというそのシーンが描かれていない。リディアがオルガを連れた出張講義では、流出した動画の角度がオルガがいた場所からのようにも思えた。辞めたフランチェスカは、部屋に残したTAR⇔RAT(ドブネズミ)のメッセージのみで映像に出ないなど、見る側にその先を想像させるような映画の余白が至る所に。リディアがタイでモンスターハンターのオーケストラを指揮したラストがその極め付け(エンドロールの短さも余計に解釈を突きつけられる)。権力行使のあらゆるしっぺ返しを喰らい、ラストで迎えたコスプレ集団の観客は異様で、リディアが堕ちに堕ちた末路に一見思える。だが、本作が至る所で点描するジェンダーレスや、リディアが見つめたビデオ映像が語った“音楽から受ける感情は無限だ”というメッセージは、その理解を裏返す。ラストで放たれた大きな余白は、リディアはあくまでもアーティストである選択肢を取り、多様性を許容した新たな世界観の中で新たな音楽の旅に出た。そんな前向きな解釈でいいと思った。 ◆評価(2023年5月12日現在) Filmarks:★×3.8 Yahoo!映画:★×3.3 映画.com:★×3.8 引用元 https://eiga.com/movie/97612/ https://ja.m.wikipedia.org/wiki/TAR/ター