
uboshito
소년의 시간
평균 3.5
「インセル」のことを「不本意の禁欲主義者」みたいに訳してて、正確にはそうなんだろうけど、そもそも「自分が禁欲してるのはモテないせいで本心ではないので不本意」みたいな意味がそもそもおかしいわけで、端的に日本語でいうところの「非モテ」なわけですよね。非モテ男子が、バカにされたことにぶちギレて女子を殺害した。しかも7カ所もナイフでめった刺し。尋常ではない殺し方。それが13歳の少年が容疑者ということでドラマは始まるが、この第1話のワンショットによる突入前後の緊迫感は、全4話中、もっともドキドキさせられた。 かねてより、ワンショット風映画などというものは、広島風お好み焼きみたいなもので、「あくまでも”風”なだけで、本物ではない」というのが持論で、壁とか地面とかで「編集点」を作ってるような映画等が散見される中、どうやらこのドラマは「本当に全部ワンショットで撮影した」らしい。頭おかしい。 しかもなんと、1話を平均して10テイク程度は撮っているらしく…「は?」ってなる。じゃあ容疑者の家にドアを破壊して突入したり、登場人物が泣いたり喚いたり、手紙の封を切ったり車にペンキぶちまけたり、走る車の合間を逃げたり、っていうのも全部「10回」はやったことになる。同じ演技を10回ってもう演劇だよね。でも映像はちょっと事情が違う。天気とかその他の要素もあるし、それが4話分なのでスタッフはそれを40回以上も繰り返したことになる…もはや尊敬。 で、本作の撮影はワンショットであることばかり語られるが、実際に重要なのは「カメラが語っている」部分だと思う。カメラが表情に寄ることで意味を生じさせている。だから倍速で見るとかとてもじゃないけどできない。カメラの語りを理解しようとすると、早送りでは読み取れないから。もちろんワンショット撮影も本当にすごくて、本当に編集点とかないので、本当に1時間ずつ、俳優さんは同じ演技をしていたのだなとわかって鳥肌ものなので、そこも必見。 ただ、星を5つにできなかったのは、物足りなさもあったため。ワンショットで撮影するために脚本が書かれているので、登場人物の「動作(動き)」も完全に計算され尽くしていて、そこは驚嘆するものの、どうしても1話で描かれるシークエンスは舞台が限定される。車で移動したり、ドローンで空撮しても限界はある。つまり「語られない部分」が多すぎるのだ。それが良いのだという意見もあるようだけど、個人的にはこの「インセル」の部分、ミソジニーが少年にまで侵食している様子は、もう少し深掘りしてもらいたかった。 最初、この容疑者となった少年は「僕はやっていない」「僕じゃない」「別の誰かと間違えている」とずっと言い張っていた。警察に捕まって泣きじゃくり、弱々しい雰囲気で、そう言っていた。しかし証拠映像は動かぬ証拠になってしまった以上、それ以上の否定はできないはずなのに、それでもまだ「僕じゃない」とか言っていて、これはつまり「僕ちゃんは悪いことはしてない」「捕まるようなことはしていない」という認識でいるということになる。ここが本作での最大の恐怖であり、戦慄する部分なのだから、ここはもう少し描いてもらいたかった。第3話で明らかになるかと思ったけど、女性の心理学者にマウントをとる程度で、曖昧な印象だったのがとても残念だった。あと重要なのは、この少年は決して「ugly」とは思えないという部分。自己評価の低さは親のせいなのか、友人のせいなのか、コミュニティのせいなのか…13歳なんてみんな自己評価は低いと思うんだけど、今の子はそんな理由で人をころしちゃうんですかね? という「動機」の部分が完全には描かれなかった=制作者もわからなかった、のかなと邪推してしまう。まあ、わかるわけねーか… とはいえ、近年稀に見る傑作なのは間違いなく、ジェンダー問題などに関心のある人にはぜひ見てもらいたい作品。ほぼ4時間の映画と思えば見れるかと。 【視聴:Netflix】