코멘트
2020年90本目は、スペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督が自身の体験を交えながら描く『ペイン・アンド・グローリー』。 ------------------------------------------------------------ 監督が自らの人生や体験を自伝的に描くことは初めてではありませんが、今回はその色合いがいつも以上に濃かったように思います。幼少期の暮らしぶりや聖歌隊への加入を強制された思い出はそのままですし、背骨の手術を経験した時にはもう映画を撮れないだろうと考えたそうです。同性愛者であることをカミングアウトしている点については、今さら触れるまでもないでしょう。 ------------------------------------------------------------ 本作は様々な境界線が溶け合って1つになっていく映画で、人生の奥深さや機微を心ゆくまで味わい尽くすことができます。心も体もボロボロに傷ついた主人公が何とか前へ進もうとする姿には自然と勇気づけられますし、タイトルの冠する通り、「痛み」と「喜び」を繰り返しながら生きていくことの意味を教えられます。 ------------------------------------------------------------ 劇中ではサルバドールが過去を何度も回想しますけど、決して全てが良い思い出ではありません。それでも彼はかつての自分と向き合うことで、現在を見つめ直すことができました。これも必要な作業だったわけですね。 また、サルバドールは自らの「現実」に起こった物語を映画や舞台といった「作品」を通じて語り直そうとしますが、アルモドバル監督もまた本作を通じて自らを語り直す…という入れ子構造になっています。「映画を描く映画」が大好きな私としては、現実とも虚構ともつかない浮遊感がたまらず、今回も幸福感でいっぱいでした。 ------------------------------------------------------------ 苦しみと喜び、過去と現在、虚構と現実…最初はぶつかり合うだけだった「人生の彩り」が、最後には混じりあって綺麗な1色の色になる。そんな美しい絵画を見ている感覚に襲われる珠玉の一本です。
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