
ひろ

안티크라이스트
평균 2.9
ラース・フォン・トリアー監督、脚本によって製作された2009年のデンマーク/ドイツ/フランス/スウェーデン/イタリア/ポーランド映画。 愛し合っている最中に息子を事故で失った妻(シャルロット・ゲンズブール)は罪悪感から精神を病んでしまい、セラピストの夫(ウィレム・デフォー)は妻を何とかしようと森の中にあるエデンと呼ぶ山小屋に連れて行って治療を試みるが、事態はますます悪化していき・・・。 トリアーはどこまで突き進むのか。うつ病になって映画を撮れなくなっていたラース・フォン・トリアーが挑んだ作品は、うつ病からのリハビリのような作品であり、彼の中にうごめく葛藤が噴き出した作品だ。モノクロのスローモーションで始まるオープニングはあまりにも美しく芸術的だが、その内容は肉欲的で生々しく、そこに隠された罪はあまりにも深い。セックスシーンをここまで美しく意味深に描いたトリアーには脱帽だ。 心を病んだ母親がリハビリしようとする内容は、うつ病から立ち直ろうとするトリアーとかぶる。ただ、トリアーは普通のリハビリ映画なんかを作るような人じゃない。そこに描かれるのは、女性への憎しみと言っていいほどのおぞましい光景だ。とても不思議な気持ちになる映像を描いたと思ったら、壮絶な過激シーンが連続するから驚いた。貧血になる人もいるに違いない。実際にカンヌで失神した客がいたらしい。 夫と妻という名前さえない二役だけの作品で主役を演じたウィレム・デフォーとシャルロット・ゲンズブール。冒頭のセックスシーンから俳優としての境地に達したかのような熱演だった。こんなウィレム・デフォーは観たことがない。カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞したシャルロット・ゲンズブールには驚かされた。もはやポルノ女優と言っても過言じゃない卑猥なシーンを堂々と演じているんだから凄すぎる。それにしてもトリアー作品に出演する女優は映画賞をやたらと受賞する。 問題発言でカンヌ国際映画祭を追放されたトリアー監督だけど、この監督が生ぬるくなるわけがない。次回作ではポルノとして映画を製作し、俳優に実際にセックスをさせるという。しかもシャイア・ラブーフというから驚きだ。「イディオッツ」でも実際にセックスをさせていたけど、再び映画界に衝撃を与えることは間違いない。 もはや、ラース・フォン・トリアーを止めることはできない。芸術だけを追っていれば、どこかしらの高みにたどり着ける監督だと思うけど、この人はそんな低い山なんか眼中にない。アメリカや宗教、映画界、時には観客までも敵に回して自分だけの世界観を創造するのだ。誰もついて来れなくて、誰も理解できなくなったとしても、ラース・フォン・トリアーはラース・フォン・トリアーであり続けるに違いない。