코멘트
【コメディ戦争映画】 本来目を覆うような残酷な戦渦の描写が、10歳の主人公の目線とコメディタッチのフィルターで驚くほど柔らかに。名優達のあたたかい演技がそのギャップをより助長する。 ◆概要 第44回トロント国際映画祭最高賞受賞、第92回アカデミー賞作品賞・助演女優賞等6部門ノミネート作品。監督は「マイティ・ソー バトルロイヤル」のタイカ・ワイティティ。出演はローマン・グリフィン・デイビス、「マリッジ・ストーリー」のスカーレット・ヨハンソン、「スリー・ビルボード」のサム・ロックウェルらの他、監督のワイティティ自身も。音楽は『カールじいさんの空飛ぶ家』でオスカーに輝いたマイケル・ジアッチーノ。 ◆ストーリー 第2次世界大戦下のドイツに暮らす10歳のジョジョは、ナチスの青少年集団で、立派な兵士になるために奮闘する毎日を送っていた。ある日ジョジョは、家の片隅に母親がこっそりと匿っていたユダヤ人の少女を見つけ…。 ◆感想 軸はひとりの少年の成長物語。そこに描かれる戦争の残酷さや悲惨さが、少年目線である事により生まれるギャップ。コメディ要素も相まって、こんなにも柔らかく映るのかと驚いた。 ◆ギャップ 戦時中の残酷さが至る所に。奇形にクローン人間、街中で処刑される人達、傷ついた帰還兵、銃殺、文字にするのも恐ろしいのに、ジョジョの目線で映し出されるその映像が柔らかくてどこか穏やか。どこまででも残酷に描けるはずのユダヤ人の迫害すら、本作では人にシッポや角が生えた可愛らしいイラストにアウトプットされてしまう笑。 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆映像表現 母の死をきっかけに大きく場面転換。初めて人に刃を立て、そして戦火を味わうジョジョ。10歳にはトラウマに十分なりうる出来事が、吊るされた母は足元だけ、銃弾に倒れた人は俯瞰のスローで映し出され、まるでそれが事実であって事実でないような、10歳の感受性そのままに描写されている“ジョジョフィルター”がかかった映像表現なのも本作らしい特徴だった。 ◆成長物語 そんな激動を抜けて成長するジョジョが迎えるラストで、伏線を一気に回収。自分のも、吊るされた母の靴紐すら結べなかったのに、エルサの靴を流暢に結ぶジョジョ。敬愛の象徴であり、心の葛藤の象徴でもあった空想のヒトラーを蹴っ飛ばすジョジョ。自由を手に入れたら踊りたいと話していたエルサと踊るジョジョ。空の手紙を読む決断をするシーンもとても良かったし、ビンタを張られても当然だねと流すのはもう立派な大人だった。 ◆ジョジョ・ラビット エルサを解放すると決心するに至る、カゴの中のウサギのイラスト。ナチスには首をひねって容易に殺せるウサギは、つまりナチスに引き渡せば確実に殺されてしまうエルサの象徴であり、カゴの中でジョジョなりに守ってきたとても大切なもの。今作のタイトルは、激動の世で大切なウサギを守りきったジョジョの確かな成長物語だったと解釈する。 ◆泣ける そんなジョジョの成長を支えるいくつものシーン。戦死した父(と推測できる)の代わりに灰を塗って父を装うロージー。娘も亡くし、不幸のどん底にいるだろうに、ジョジョの前では明るく振る舞う母の気丈さと、息子への優しさが溢れるシーンだった。街が戦火に覆われた中、迫害を装ってジョジョを解放させる大尉。その後銃殺される(銃声だけの表現はやはり本作らしい“ジョジョフィルター”だったと思う)リスクを犯してもジョジョを守る、そして引いてはエルサを守る、まるで父親がわりのようなあたたかさを感じるシーンだった。そんな戦時のド過酷な中を、ジョジョを守り包む目線で描くこの映画のあたたかさも、前述のギャップの幅につながっていたと思う。 ◆ ヨーキーが死んでなくて良かった笑。それでも背中はボロボロで傷もあったように、柔らかく描きつつも、映像の節々に映し出される戦時の過酷さ。終始この10歳の目線で描く戦争と実生活のアンバランスさ、そこが絶妙だった。 ◆トリビア 空想上の友達アドルフ・ヒトラーは、原作の小説には登場しない(https://www.newsweekjapan.jp/stories/culture/2020/01/post-92165.php)。
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