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てっぺい

てっぺい

6 years ago

4.0


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미안해요, 리키

영화 ・ 2019

평균 3.8

2020년 01월 11일에 봄

【なのに映画】 ただ一生懸命働くのに、行き詰まる仕事。皆優しいのに、崩れていく家族。“なのに”な逆説が、心がえぐられる程の描写と共に、本作の描く社会構造のリアルさを浮き彫りにする。 ◆概要 2019年・第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作品。監督は「わたしは、ダニエル・ブレイク」のケン・ローチ。 ◆ストーリー 自営宅配ドライバーの父とパートタイムの介護福祉士の母は、念願であるマイホーム購入の夢をかなえるため懸命に働いていた。家族の幸せのための仕事が、いつしか家族が一緒に顔を合わせる時間を奪っていく中、父がある事件に巻き込まれてしまう。 ◆感想 後半グイグイ心がえぐられる。家族がみんな優しく思いやりがあるのに、崩れていく。ただ真面目に一生懸命働いているのに、家族との時間がなくなっていく。どこの国でも、決してマイノリティではない“日雇い”労働者の、社会の中での生き様が残酷なまでに縁取られていく。 ◆日雇い イギリスでは、就労時間が保証されず、雇用者が欲する時のみ就労する「ゼロ時間契約」と呼ばれる雇用形態が、普及しているらしい(https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5df07838e4b06a50a2e6accd)。リサーチに基づいた実際の話も多く盛り込まれているようで、まさに本作は社会に生きる中で、この形しか選択肢がなかった家族のリアル。そしてそれがフィクションと思いたいほど、痛々しく描かれていく。リッキーとアビーが訪れた病院に患者達が溢れていたのは、まさにこの映画が描く、社会構造の犠牲者達が決してマイノリティーではない事の映画表現だと思った。 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆えぐられる 父母とも健気なまでにただ真面目に働くのに、マイナスにしか進んで行かない家族がいたたまれない。働けば働くほど家族との時間が取れず、次第に道をそれ出す息子。停学に万引き、息子が問題を引き起こす場面にも仕事から離れられない。八方塞がり過ぎる父をさらに追い込む暴行事件。周りを気にもとめず取り乱す母。ボロボロになって、家族の制止も聞かず突き進むしかなかったラストも、全てがリアルすぎてとにかく心が痛む。 ◆絆 でもどこかただ不幸なだけではなく、家族の絆がポツリと描かれるのが逆に心に残る。仕事に向かうアビーに、家族でバンで行こうというセブのアイデアは微笑ましく素晴らしかったし、反発の絶頂期ながら、傷を負ったリッキーを案じるセブには落涙。車のキーを隠せば家族が元に戻ると思ったと話すライザのシーンも良かった。仕事の選択肢さえあればこの家族は間違いなく幸せになれるはずだった、そんな事を思ってやるせない。 ◆原題 原題の“sorry we missed you”は不在票に配達員が書く決まり文句であり、この映画では“人の心を見失う”意味でも使われていたと思う。子の、夫の、妻の、それぞれの気持ちを理解してやれず、気持ちが離れていく。まさにmissed youな、愛する人を失っていく感情が描かれていたし、家族が父を見失っていくラストも含め、原題で作る映画の骨子がしっかりしていた。作り手の巧みさが光る映画だと思う。 ◆ ハッピーエンドを期待してしまうほど、自分の中にこの家族への慈悲が生まれる感覚。でもハッピーエンドでない事で、この映画が描くものがノンフィクションであるという暗示。心も揺さぶられっぱなしだったし、本当に素晴らしい映画でした。