코멘트
スマホ拾っただけなのに… 大好きな『アンダー・ザ・シャドウ』の監督で個人的に推してるババクアンバリ監督によるゴキブリホラー。 前作と比べると映像的にもお話的にもパワー不足に感じたけど、それでも余白をたっぷりと残し、人が孤独の地獄へと陥っていく様をホラーとして描いた本作からは「縁」は大事にしないとダメやなってことが実感できて新年早々見て良かった。 breakupの物語として似てる点があるから『ミッドサマー』と比較されることも多いようだけど、『ミッドサマー』のような正か負かの境界が曖昧になっていくような感覚や、不快感なのか多幸感なのかの判別すらも出来なくなるほどの人の内面で膨れ上がる病的な狂気の気持ち悪さみたいなものではなく、本作は湧き出て歯止めが効かなくなる利己的な感情により主人公が堕ちていくお話。 偶然拾ったスマホの中には血だらけの男や生首の写真が保存されていて、「このスマホの持主ヤベェ奴やん!」ってワクワクしちゃった主人公が、「さっさと警察に渡しや!」という同棲中の彼女の言葉を無視して持ち続けたためにエライことになっていくといった内容で、まさに「スマホ拾っただけなのに」状態。このスマホがきっかけで彼女との間に燻っていたお互いに対する不満が顕在化し、抑えていた汚い感情もまた表に出始める。 1匹いれば1000匹いると作中でも語られる通り、人の中の負も1匹目となるきっかけさえ与えられれば際限なく増殖する。そして欲望にまみれた彼はそれを利己的に追い求めるがあまり、あらゆるものを失っていく。本作の面白いところは、浴槽のイメージによって一度戻れる可能性を提示するところで、それにもかかわらず利己的な行動を取り続ける彼が行き着く先は、限りない心の負を(自ら)取り込み続けるという地獄。 あの男は主人公にとっての将来像であったのだろうし、突然ショッキングな映像によって幕切れとなる本作だけど、彼の存在によりその結末は容易に想像がついてしまう。 クローネンバーグ(特に『ヴィデオドローム』)からの影響をモロに感じる人体の穴に始まり、穴のイメージが多く使われている。穴はグノーシスの扉だと作中で語られるように、主人公が拾ったスマホの持主たちは主人公の妄想でなく本当に残虐な行為を行っていたのであればグノーシス主義的な発想のもと救済を行なっていたのかもしれないなって思った。知らんけど。 どちらにしても人間の汚さを描いた本作は、誰もが陥る可能性のある孤独の地獄を「こうはなっちゃダメだよ!」って反面教師的に伝えてくれる超ポジティブな映画だと思った。クローゼットの中への唐突な視点の変更によるスリルとか、挿入される願望とも予兆とも取れるような不気味なカットバック、ジャンプスケアに頼らない重低音による嫌な空気感の持続等々、面白く見れたし『アンダー・ザ・シャドウ』と比べるとかなり劣るけど、こちらも面白かった。というか『トゥー・アンド・トゥー』『アンダー・ザ・シャドウ』の2作から急激に作風を変えたように思うけど、舞台を変えた以上に何かあったんかな?とりあえず次作に期待!!
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