
星ゆたか

네 멋대로 해라
평균 3.5
2022.9.16 2022年9月13日、91歳の生涯を閉じる。ご冥福を祈ります。 監督ジャン=リュック・ゴダール。 1930年12月3日医者の息子としてパリで生まれた。 両親は伝統的なブルジョワ階級に属するプロテスタント。 ソルボンヌ大学中退後、シネマテークに通い古典映画を鑑賞し、フランソワ・トリュフォーやエリック・ロメールらと知り合う。《カイエ・デュ・シネマ》などに映画評を寄稿するようになり、本作を59年に長編劇映画第一作とする。 その既成映画作法と違う撮影・演出のスタイルがトリュフォー作品らと共に、 映画の新しい波=ヌーヴェル・ヴァーグの到来と称された。 私生活では61年に女優アンナ・カリーナ(初期の2作の主演)と結婚(64年離婚)でも話題。 今回改めて見直してみた。 トリュフォーやロメールの作品ほど愛着が特に後年のゴダールの映画は沸かないが。 本作品はそれでも、俳優の魅力や撮影の斬新さに目を見張るものがあった。 昨年やはり亡くなったジャン=ポール・ベルモンドは当時27歳。 ジーン・セバーグは22歳。 警官を殺したチンピラギャングが、惚れた女の裏切りで刑事に射殺されるまでの数日間のお話を実に魅力的に見せてくれてました。 若い男と女の、自分でも持て余す不安定な心と体の、“置き所”を探し求め流離う感覚。登場人物本人もこの先どんな言動を引き起こし、どの運命に導かれるか予測できない。情熱と状況のズレ。 見せられている観客も実にリアルに同じような気持ちにさせられる。 自分だったら、こんな場合どんな言動になるだろうか?と色々想像、翻弄されていく。 撮影のラウール・クータール(1924年生まれ)さんは、このヌーヴェル・ヴァーグ到来と共に有名になった方(トリュフォー監督作品も)で。ゴダール監督の演出意図もあるのだろうが。 例えばまずあの交通違反で追われた警官を射殺する場面。街道下の雑草林にその警官が落としこまれるショットは、まるで海の波間に殺傷記録が埋めこまれるような不思議感があった。こんな重大な事件も映画の中では警察に追われる状況説明の扱いで、ワンショットで通り過ぎていくのだ。これも有名な“ジャンプショットの一つなんでしょうね。無駄な説明ショットを入れず物語を進めていくんです。 また同じカメラサイズで人物の背後から横、頭の後ろからの切り返えショットを何回も続けて、背後の人物の声に応えてゆく描写も独特。これは一説によると、少しずつカットを再編集する過程で生まれた所産とも。 さらに手持ちカメラで移動する人物の手前から迎えるカメラ視点の動き、さらに横から流し人物の動きに合わせて撮影、または後ろから人物を追いかけていくカメラなどなど。 一場面をカット割せず、継続しながら “人物の動きの図柄”で見せるあたりは、この作品ならではの(見せ場の)特色です。ゴダール監督が日本の溝口健二監督の、流麗な横移動のカメラ演出に傾倒していたという話もウナズケル所だ。 このような撮影カメラのカットを少なくすることによって、登場人物の心に感情移入、寄り添って同じように動き回ることで得られる効果は。 登場人物の心身と観客の思いが時に一体。 またある時は客観的に突き放し見守っていたりとすることになる。 そういう意味で、この映画は内容以上に撮影演出スタイルに特質した映画といえよう。 劇中主人公がハンフリー・ボガードの写真を見つめる(ギャングスターに憧れる主人公)ショットに同時に監督の映画に対する若き頃の敬愛が感じられ好感を持った。 さらにパリのシャン=ゼリゼ通りなどを隠しカメラでロケ撮影したリアル感は、時代を超えた記録フィルムとしても貴重だ。