코멘트
ティム・バートンが監督を務めた、2010年公開のファンタジー・アドベンチャー。 ルイス・キャロルの児童文学『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』を原作とする本作、第83回アカデミー賞では美術賞と衣装デザイン賞の2部門に輝いたとのこと。パッと見よくある名作のリメイクかと思いきや実は原作ストーリーから13年後を舞台とした「後日譚」であり、原作では少女だった主人公アリスも本作では19歳に設定されています。しかし今回のアリスは13年前の記憶を失っており、そんな彼女が再びワンダーランドへと迷い込むことで原作ファンがニヤリとするようなオマージュを沢山盛り込みつつ、初見客に対しても原作の世界観を改めて体感させるような作りとなっています。加えてアリスが暮らす現実世界には階級社会や女性搾取といった実社会の問題も投影されており、現代に長編劇映画としてリメイクするなりの工夫や配慮も抜かりありません。という事で、いわゆる「現代版リメイク」に必要とされる諸々のハードルは十分クリアした一作ではあると思いますし、バートン作品の中でも『チャーリーとチョコレート工場』がぶっち切り大人気の日本において、同じようにメルヘンかつサイケデリックな世界観を持つ本作が大ヒットするのも大いに納得がいきます。 ただ個人的に本作はあまり楽しめなかった一作でした。もっと正確に言えば「楽しみ方を最後まで掴めなかった」という感じでしょうか。と言うのも、序盤では結構テンションが上がったんです。その理由は他でもない、全編に施された”インパクト絶大なビジュアル”ですよ!陰鬱な画作りやサイケな色使いもさる事ながら、特に強烈なのはやはりキャラクターの造形ですよね。本作はディズニー製作・配給の作品ですから例えばキャラクターをピクサー作品のようにキュートでポップなルックスにすることも可能だったでしょうし、ここに関しては実際賛否が分かれるポイントでもあるようです。しかし私が『ふしぎの国のアリス』(1951)を観て率直に感じた「歪さ、異質さ、不気味さ」には見事に合致しましたし、バートンは明らかにその方向性で作品を推し進めているように感じるのです。このヤバいルックのまま『ふしぎの国のアリス』級の作りが炸裂するとこりゃトンデモない映画になるぞと期待を膨らませていたのですが、物語はいかんせん冗長で淡白なんですよね。要は「不思議の国のアリス」という元々異色な原作を長編劇映画向け、エンタメ寄りにテコ入れした結果、奇抜なビジュアルとは不釣り合いな「物語の薄口さ」が際立ってしまったのだと思います。クライマックスの殺風景具合にもゲンナリしましたし、序盤でワクワクしただけに個人的にはかなり残念な一作となりました。ただそれでもバートン節はしっかり感じられる作品なので、新作公開などでバートン気分になった時には本作も一緒に観直そうかと思います。 ヘレナ・ボナム=カーターって本当何でもやるなぁ。朝日奈央ちゃんかヘレナ・ボナム=カーターか。
좋아요 2댓글 0


    • 데이터 출처
    • 서비스 이용약관
    • 개인정보 처리방침
    • 회사 안내
    • © 2024 by WATCHA, Inc. All rights reserved.