
星ゆたか

아이는 알아주지 않아
평균 3.7
2022.8.27 高校二年生の夏休み。青春のモラトリアムでの体験が、とても“みずみずしいキラメキ”を持った傑作! 海辺の“青と白と薄茶”の町 打ち寄せるさざ波の音 空にこだまするとんびの鳴き声 軒下にそよぐ風鈴のやさしい “ね✨” 潮風の匂いで 昼寝から目覚めた 亡き母の故郷での 少年の頃の夏休みが 懐かしく 甦った ‥‥‥。 水泳部女子の美波はある日、書道部男子の門司(もじ)くんとの出会いがきっかけで幼い頃(三才)別れた父親の居所を探しあてた。両親には水泳部の合宿に参加すると言って、数日間父親と一緒に夏休みを過ごすこととなった。 田島列島さんの原作との違い。 大きい所では父親の新興宗教の教祖になったキッカケ、超能力(透視)が映画では衰えてしまった。(そのため解雇)そしてその代わりに現在している指圧の仕事。原作終盤では師匠が父親に指圧師として、弟子を取るように提案する展開があるが、これらがハショラレてしまった。 それと門司君の家庭事情。 性同一性障害の兄(美波の父親の居所を見つけてくれる)の存在が“すぐ泣く”思いやりの深いキャラだけで終わってしまった所。祖父から勘当され家をこの兄は出ている。主人公達と同様、大人も子供もあまり変わらないことで悩んだり、失敗する内容が原作ではいいとしているようなのだが。 監督の沖田修一さんの演出。 「横道世之介」(13)「おらおらでひとりいぐも」(20) ゆったりとした時間感覚。 長回し・ワンカットの撮影。 そのため作品の尺数が二時間を超えることが多い。 一例を言えば美波と門司が、好きなアニメの共通話題で嬉しくなり、出会った学校の屋上から、一階までの階段を話しながら降りてくる様子をズット、ワンカットで流し引っ張って見せた所などがそれ。 その他とにかく観客も、映画の登場人物達の状況に一緒に入り込ませる演出が、とても心地よい作風の連続なのだ。 例えばそれが夏休み前の水泳選手権の描写。この大会結果予選落ちで担当教師・コーチ・選手達全員が大泣き。(オーバーな演出:悔しくて小さな子供のように大泣きするから、他人から見ると面白い。これがシクシク感情を一般の大人の抑えながらのような泣きではおかしくない)けれど同じ立場なのに、美波だけは、どうも真剣に真面目になればなるほど、笑っちゃうクセがあるようで両手で口を押さえ、懸命に笑いをこらえようとしている。 だから同時に観客もここは演出の狙いどうり、可笑しくてどうしようもない。つまり映画の中では、状況として試合に負け悔しくてみんな泣いているのだけれど、主人公の美波一人だけ笑っていることで客観的に見せられている観客は、ここはもう大威張りで笑っていいのだとする、喜劇の醍醐味そのものズバリの傑作シーンだ。 ちなみにこの美波の笑いグセは最後の“愛の告白”の泣きどころでも活きてくる。 こうした良質な映画体験を観客に持ってもらうために、そのため描かれずハショラレてしまう原作の部分が、どうしても出てくるのは仕方ないか。 それでもって特質されるべき長所は他にも事欠かない。 門司君は夏休みの間、自宅に近所の子供たちを集めて、無償の書道教室を開いている。彼の家は祖父・父親そして自分と三代に続く書道家の血筋。 集中力の途切れやすい子供に対し、 『本気になって書いたら、その文字が半紙から浮かび上がってくる』と話す。そして何か部屋の天井の補修の後、板きれを打ち付けた所を見せその話を続ける。『えぇェ 本当かなぁ』の子供の反応。 その様子を訪ねてきた美波がずっと見ていて、『門司君 教え方上手だね 超先生してる』と褒める。 『そう? 人に教わったことなら 教えられるだけだよ』と。 そのことが後に美波が父親の所を訪ね、隣の指圧治療院の孫娘の、泳ぎの教えに活きてくる。 さらにその“水泳教室”は、父親の希望まで受け入れられてくる。泳げないとする父親も生徒だ。 これは同時に、それまでずっと一緒に過ごせなかった、実父と娘の貴重な夏休みになった。 まさに《継承》の意味合いだ。 親から子供そして孫へと伝えられていく。 また父親の居所を探してくれた門司君の兄から、その後“探偵料”の請求書が届く。無料の表示の後に。『大人になった時、若い人に何かして上げて』と。 その他気にいった言葉がある。 彼らの好きな架空のアニメの中の、 〔左官〕のテーマ曲。 ♪壁は塗り替えられるものでなく、飛び越えるものだ♪ 俳優さん、門司を演じた細田佳央太君は「町田くんの世界」(石井裕也監督)の主役。美波の上白石萌歌さんと、門司君の兄役の千葉雄大さんは初めてだがとても感心した。後は両親役の古館寛治さんと斉藤由貴さん、実父の豊川悦司さんらはもう安心して見てられますね。 さらに繰り返しになりますが。 真剣に文字、言葉に思いを掛けて書くとその言葉が浮かび上がってくる。というセリフ! 聖書からくる人類の創世のことわざに。 《始めに言葉ありき》 〔 In the beginning was words 〕 なんてのがあります。 門司君は美波を思って、流木で美波の名前を浜辺に書いた。すると海中に潜っていた美波ちゃんが、ガバッと浮かび上がり顔を見せてお互い『何で?』と驚く。 一方その後、美波は合宿に結局参加出来なかったので、居残りで一人プール掃除をしている。そしてそのデッキブラシで、門司の名前をプールの水で書いた。すると最初に出会った見上げた屋上に、 『あれっ?』門司君の姿が見えたではないか。 そしてその屋上で、お互い正座しながら、涙混じりの笑顔でもって、 『好きです』と何回も言い合う姿を見せられるとねェ。 やっぱり‥泣けちゃいますヨ!