黒い背景が艶艶に黒黒としていたらそれだけで傑作系映画。グランギニョールな悪夢の白さもコントラストが効いていて良い。 出色なのはメイド暗殺シーンで、メイドが公園のベンチでまったりしている、遊具で遊ぶ子供達や木陰でキスをするカップルがいる、メイドが煙草に火を付けて「ふう」と一服すると安いスピーカーから流れていたチープな音楽が止まり、辺りを見回すと子供達やカップルが消えている、薄気味悪いぞと言うように帰路につくと一瞬で空は夜になり、自分の名前を呼ぶ声でが聞こえてくる、迷路のような道を何故か狭い方へ狭い方へ逃げていき、最後は行き止まり。この一連のリズムがとっても気持ち良い。 「自分が担当した事件が解決したことはない」と自慢気に話す探偵の、最後の最後に初めて真相に辿り着いた喜びとそれ故に生命を落とすことになる哀しさが同居する最期は普通に感動した。