
dreamer

피아니스트
평균 3.2
このミヒャエル・ハネケ監督の「ピアニスト」は、女性の心の闇を鮮烈に描き、2001年カンヌ国際映画祭でグランプリ、主演女優賞、主演男優賞を受賞した秀作だ。 音楽の世界は非情だ。実力の差がはっきり出てしまう。 音楽を志す者は、小さい頃に社会から隔離され、すべてを犠牲にして努力する。 しかし、栄光を獲得できるのは、ほんの一握り。 途中で挫折した者は、犠牲のツケを払わされることになる。 この映画の主人公エリカ(イザベル・ユペール)も、そんな犠牲者の一人だ。 幼い頃からピアニストになるために教育を受け、恋人も作ることも許されずに生きてきたのだ。 エリカは、名門ウィーン国立音楽院のピアノ科の教授になった今も、まだ性体験がなく、母親の監視下で社会との関係を断ったような日々を送っている。 そんなエリカの前に、才能あふれるワルター(ブノワ・マジメル)が現われ、エリカに愛を求める。 ところが、エリカはワルターに特異な性的要求をする。彼女はマゾヒストだった-------。 エリカはどんな時も、あごをツンと上げ、人を見下す表情を崩さない。 容赦ない罵倒の言葉を生徒に投げつける。時には、生徒の指をガラスで傷つける。 彼女は日常生活ではサディストだ。 その裏には、挫折者の悲哀が渦巻いている。 そういう人物が性的には真逆の志向を持つことは、現実にもよくあることだ。 しかし、実は彼女はマゾヒストにはなれていない。 マゾヒズムは、人間の暴力的な衝動を知性でコントロールしようという装置だと思う。 社会性を逸脱しても快楽を得られるサディズムとは、表裏一体でありながら、知的次元が違うのだ。 ところが、社会性の欠けたエリカにはそれが分からない。 ワルターに一方的に手紙を送り、サディスティックな行為を細かく強要する。 戸惑うワルターは、衝動の赴くままに彼女を殴る。 それは、もはやマゾヒズムではない。この時、彼の絞り出した言葉が、この映画のテーマだ。 「ルールは二人で考えるものだよ、先生」。 エリカは、ずっと望んでいたマゾヒストにもなれずに人生をさまよっている。 彼女が、救われる日は恐らく来ないだろう。 死ぬまでツケを払い続けるのだ。 こんなにも哀しいヒロインは、ちょっと見たことがない。