
てっぺい

가버나움
평균 4.0
2019년 09월 07일에 봄
【映画の範疇を超えたリアル】 IDもない貧民の子。自分を産んだ罪で親を訴えるに至る運命とそのリアルさにもう心がえぐられまくる。映画全体もさることながら、同じく“存在のない”幼児との、演技の範疇を超える中盤も見もの。 ◆概要 2018年・第71回カンヌ国際映画祭審査員賞・エキュメニカル審査員賞受賞、第91回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品。監督は「キャラメル」のナディーン・ラバキー。出演は、本物のシリア難民だったゼイン・アル・ラフィーアら。 ◆ 中東の貧民窟で暮らす12歳のゼインは、貧しい両親が出生届を提出していないため、IDを持っていない。ある日、妹の強制結婚に反発したゼインは家を飛び出す。しかしその後、再び家に戻ったゼインは、その妹の身に起こった事を知り……。 ◆感想 自分にとっては「スリー・ビルボード」以来の“心がガンガンえぐられる”映画。12歳にして親からの与えられるべき愛を与えられず、ただ生き抜くことしか出来なかった少年。親を訴えるという本来映画的にキャッチーな要素も、この映画の中ではリアルでしかない。“存在のない”ものどうしで生き抜く中盤のリアルさはもう映画の範疇を超えている。 ◆えぐられる 妹が強制結婚させられ、家を飛び出し、彷徨い、行きずりの先で出会った幼いヨナスの世話をすることになり…もうゼインに普通の少年としての希望が何もない。親の人格だけが原因ではなく、貧民への差別や貧民であることの絶望感、圧倒的な根深さの中で、ただ今を生きることで精一杯なゼインがいたたまれない。 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆もっとえぐられる 全てに疲れ果てた挙句に知るサハルの死。12歳にして刃物を手に取るゼインにもう胸が締め付けられた。それまでのゼインの生活が過酷だっただけに、刑務所での生活の方は、まだマシに見えてしまうほど。そして本来喜ぶべき母の妊娠にも“育てられないなら産むな”と罵るゼイン。全てが日本に生きる自分にとって想像を絶し過ぎていたけど、なまじこれがレバノンという国の現実の一部なのだろう。最後の最後にやっと見れたゼインの笑顔がその分、とても微笑ましかった。 ◆ジャーナリズム 監督は3年に渡るヒアリングの上で、映画の構想を得たとあった。どこまで事実に近いことなのかは置いといて、レバノンという、日本での日常でほぼ入ってこない国の情報。映画という形でそれを伝えるこの作品は、存在意義がとてもあると思う。実際、興収が世界で6800万ドルという事なので(wikiより)、単純計算で700万人程にこの映画、レバノンの情報が届いていることになる。映画がエンターテイメントであるのと同時に、ジャーナリズム的要素も併せ持つ事が興味深い。 ◆ヨナス 行きずりの先でゼインが世話をする事になったヨナス。不法移民の子であり、この子もまた“存在のない”意味でのゼインの同志。ゼインが同じ境遇のヨナスを見捨てられる訳もなく、ゼインがただひたすら精一杯ヨナスを世話していく。と、筋書きは簡単に書けるのだけど、圧巻はその演技。ヨナスを演じたボルワティフ・トレジャー・バンコレは、まだ演じる事ができる年齢ではない。ゼインの胸を母親のようにまくしあげる様子や、離れていくゼインを追うシーンなんて、事前に相当な時間を費やしていないと出ないアウトプットだと思う。ゼインがヨナスと暮らした映画中盤は、その意味でもう映画の範疇を超えた、とある子供二人のリアルを見せられている感覚だった。 ◆構成 自分を産んだ罪で親を訴える。この映画的にとてもキャッチーな要素が冒頭にある事で始めからぐっと引き込まれる。さらにそれが映画を通して、訴えるに値する現実をこれでもかと見るものに叩きつけてくるからすごい。法廷と過去のシーンが交錯しながら、次第にゼインの過去が明らかになっていく、映画の構成としての美しさもある映画だった。 ◆ 正直、評判から少しうがった見方で臨んだ映画だったけど、まあそんなハードルを悠々と超えてくる、中身がぎっしりパンパンに詰まった極上の一本でした。また一つ好きな映画が増えました!