
星ゆたか

프로페서 앤 매드맨
평균 3.5
2022.7.3 オックスフォード英語大辞典の誕生秘話。その編纂作業の中心における人物。ジェームズ・マレー“博士”と“狂人”に当たるウィリアム・チェスター・マイナー元軍医の物語。 映画は緊張の趣く殺人容疑で逮捕されたマイナーの裁判、その事件当夜の重々しい場面の再現から始まる。 “人違いの殺人”があまりに短絡的で、相手をよく確認せず行使するので?あれって思っていたら、これは当時“精神分裂症”と呼ばれ、後に「統合失調症」《SCHIZOPHENIA》(スキゾフレニア)と改められた精神疾患の、誤った言動犯罪であったことが判る。 この「統合失調症」の人間の映画で思いだすのに「ビューティル・マインド」(01)ラッセル・クロウがオスカーを受賞した作品があった。ソビエトの暗号解読を依頼された数学研究者の物語だ。 脳の精神機能の分解からくる“妄想” “幻聴”などの症状が現実との接触を難しくし、時に自己を抑えられずに時に犯罪を引きおこしてしまう。 そのためこの事件の裁判判定は、『無罪評決』で刑事犯精神病院に保護措置による拘禁処置が下された。傍聴席で騒ぐ聴衆人の中に、納得のいかない無言の表情の、夫を突然殺されたメレット婦人の姿。 一方ジェームズ・マレー博士は貧しい環境の中、独学で知識を習得しオックスフォード大学出版局の理事会に、その独自の視点・型破りの発想による辞典の編纂に期待が寄せられた。もうこの時点で辞典の編纂を志して20年の歳月が過ぎていた。だから打開策としての起用だ。 編纂のアイデアとして、広く一般に古くから伝えられている言葉の《引用》を公募する方法が採られた。 『海図も羅針盤もない船で、言葉の大海を今皆さんと一緒に渡り進み、英語に尊厳を与え天国の門へ到達させましょう』と呼びかけた。 その頃マイナー囚人は、自分の年金をメレット婦人にせめてもの罪滅ぼしにと、付き添い看守のマンシーに託し渡してもらう。始めは拒否されるが何回かの試みで誠意が伝わる。 そしてその頃新聞で辞典編纂のための、引用公募を知り協力の手段に部屋の改良と必要文献を取り寄せてもらう。所長もそれがこの病気の治療の手立てになるならと許可する。 そしてマレー博士のもとへ協力を申し出た。『どの単語の引用が必要なのか知らせて下さい』『言葉の大海で網を広げさせて下さい。私も釣り糸を垂れて未知の引用を引き上げます。』 マレー博士は『神は救世主を遣わした。我々も急ごう。』編纂の作業も停滞気味だったのだ。 この二人の名優の演じる人物が、初めて病院の中庭で出合う場面は中々感動的。共に孤独な仕事に使命・生きがいを見出だし、その人生の道すがらで出会えた共振の魂の喜びが、しみじみと滲み合う瞬間だ。文通で意思疎通が出来てますから、普通ならここはハグしたい所。しかし受刑者という立場、ショーンは“動物的”接触演技、共有感情でメルの髭を触るんです。すると苦笑するメルの“反応”演技、これはアドリブ的俳優演技掛け合い?なんてのリアル感。体全体で動き出せない感情表現の詰まった味わい。 ショーン・ペンこの時59歳、メル・ギブソン63歳、二人とも映画登場シーン開始の容貌から“いい年の取り方”をしているなという感心が第一印象でした。また俳優の印象では看守マンシー役を演じたのは、あの「おみおくりの作法」(03)の エデイ・マーサンさんでしたね。 物語はメレット婦人が、夫を殺され 憎しみ以外の何ものでもなかった男の 謝罪を、徐々に受け入れることから許しの気持ちになり、相手を女として受け入れる所まできていた。五人の子供との 安泰の生活も彼の年金のお陰だ。 そして子供達も収容病院で合わせようと試みる。しかし長女だけは他の幼い弟妹とは違い、決して許してはいなかった。 この避けていた現実の直視が回復していたかの病状を一気に悪化させてしまう。 彼を悩ましていた戦時下の敵兵ライリーの顔、烙印を焼き付けたあの顔、誤って殺してしまったメレット氏の恨ましい顔。に悩み苦しむ日々の再来。 辞典の編纂の協力もまるで出来なくなった。 様子の変に気づき会いにきたマレー博士も拒絶。そしてあのメレット婦人も門外拒否。 所長の実験的新治療も裏目に出て 廃人寸前の有り様。 また天下のオックスフォード大学の威信を掛けた、辞典の編纂作業に犯罪者が加わっていたとの公共の報道で、マレー博士も解任の方向へ追いやられてしまう。 さぁ事態はどうなるのでしょうか? 結末は見た上でのお楽しみということで。 しかしこの頃、色々の映画を観てきて思うんです。その色々の“その世界”にこだわれるってことは一種の才能で、その世界をまた完成達成させることはそれでまた大変なことなんだけれども。 でもそれが各人この世に生まれてきた使命なんでしょうね。 だから逆にそれを見つけられた人は なんて幸せなことなんだろうか!。