扱うテーマの大きさに深く考えさせられた。男手ひとつでニモを育てる父親はハンディキャップを持った息子に対して過保護なまでの愛情を注いでいる。一方でニモは父親の愛情を感じつつも、窮屈な檻に閉じ込めるような父親の発言に反発する。そんな中で離ればなれになったふたりが、途中それぞれの旅の中でであった仲間たちに様々な言葉をかけられながら奇跡のようなラストを迎える様が見事な作りだった。特に良かったのは鮫たちとの緊迫感のある笑いやマーリンとクラッシュの子育ての対比、ニモとギルのやりとり。また、映像が美しくてクラゲのシーンは感動したし、ドリーの鯨語はコミカルな笑いがあった。魚たちの視点から見た人間も考えさせるものだった。まさに子どもも大人も楽しめるという傑作だと思う。