胸糞が悪くなる作品として有名な傑作サスペンス。 大学教授のマイケルは幼い息子とワシントン郊外に住んでいた。ある日、大けがを負った少年を助けたことをきっかけに、その両親のオリバーとシリル夫妻と親しくなるが、オリバーが何かを企んでいることに気づいたマイケルは次第に彼に疑念を抱きはじめる…。 ジェフ・ブリッジスの鬼気迫る表情にティム・ロビンスの冷静でありながらどこか狂気性を感じる演技も相まって、まるでホラー映画のような恐ろしさがある。序盤から中盤にかけては徐々に真実が明るみになっていくサスペンスが中心だが、そこから手に汗握るスリリングな展開になり、そして衝撃的なラストを迎える。この構成も見事。とにかく没入感が凄くて、終始目が離せない。 ただ、さすがに主人公が可哀想過ぎる気がする。因果応報的な感じでもなく、主人公は一方的な被害者であり、善人であるので、これほど救いようのないラストにはかなり気が沈んだ。この後味の悪さがこの映画の魅力の一つであるのも分かるし、物語としては非常に面白いのだが、「テロリズム」というテーマを扱った作品としてはメッセージ性がブレるし、レンタル禁止になった理由も納得できる。かと言ってハッピーエンドにしていたら、何の余韻も残らない凡作にとどまっていたかもしれない。