2020年160本目は、突如として始まったデスゲームに12人の男女が翻弄される『ザ・ハント』。 ------------------------------------------------------------ 設定は本当に何百回と繰り返されてきた普遍的なバトル・ロワイアルなのですが、何回見ても飽きない一定の面白さは確保できてると思います。序盤からグロさ全開で次々に参加者が殺され、アドレナリンの噴出は十分。目まぐるしく主人公視点が移り変わることで、一体誰が「ストーリーテラー」となるのか興味をうまく持続させていく点も上手です。 ------------------------------------------------------------ そして遂に主人公として登場するのがベティ・ギルピン演ずるクリスタルで、彼女のアクの強いキャラクターには一目で惹きつけられます。ここまでチート級の強さだと、「誰が生き残るのか」といったデスゲームならではの醍醐味は完全に削がれてしまいますけど、本作の場合はクリスタルが敵をバッタバッタと倒す姿からそれを上回る爽快感を得られるでしょう。存在感をまとったキャラを演出できてるのは素晴らしいですね。 ------------------------------------------------------------ それだけに残念なのは公開中止の原因ともなった、トランプ支持者をディスる政治的な「匂わせ」です。南部のホワイトトラッシュやレッドネックへの偏見を感じさせる描写もダサいの一言ですし、そもそも退屈な政治議論で話の勢いが完全に失速してるので、単純に間延びした中盤がとてつもなく退屈です。こんなことをせずとも刺激的な絵面とクリスタルのカリスマ性で良い映画が撮れたと思うのに、奇をてらいすぎましたね。