都会の人々が語り継ぐ怪談"都市伝説"を研究中の大学院生ヘレンの周囲で、殺人事件が次々と起こる。 これは"キャンディマン"と呼ばれる伝説の殺人鬼の仕業なのか? 殺人容疑をかけられたヘレンは、やがて伝説の正体を目撃してしまうのだった-------。 この映画「キャンディマン」は、恐怖の中に深い悲しみを湛えた官能的なロマンティック・ホラーだ。 ヴァージニア・マドセン扮する大学院生が親友と二人でアメリカの都市伝説に関する研究論文をまとめるうち、19世紀末に白人の地主の娘と恋に落ちたため地主に片腕を切り落とされたうえ、裸に蜜蜂を塗られ、蟻の大群の餌食にされ、右腕に鉤を付けた殺人鬼となり、鏡に向かって名前を五回呼ぶと、背後から現われて首をかき切るという"キャンディマン"の伝説にぶつかるのだった。 どうせ作り話だろうと思って鏡に向かい、キャンディマンと五回繰り返すと、途端に恐るべき異変が起きるという怪奇的な恐怖で、キャンディマンを演じるトニー・レッドが不気味で実にいい味を出している。 俺が作り話でないことを思い知らせてやるというキャンディマンとヘレンとの対決になるんですが、凡庸なバーナード・ローズ監督が怪奇恐怖映画のパロディのつもりで作ったのではないかと思いたくなるくらい、怖くないんですね。 アメリカでは公開当時ヒットしたそうですが、ウケた理由は怖さとは別なところにありそうだ。 少しだけいいと思うのは、キャンディマンと四回呼んで、あと一回をいつ呼ぶかというサスペンスだけですね。